ランドセル選びにおいて、デザインや機能性と並んで重要になるのが素材です。
ランドセルに使われる素材には独自の特徴があり、見た目や耐久性、手入れのしやすさなどが異なります。
この記事では、各素材の特徴や長所・短所を詳しく解説します。
お子さまにとって最適なランドセルを見つけるための参考にしてください。
ランドセルの主要な素材は3つ
ランドセルに使われている素材は、大きく分けて3つあります。
人工皮革、牛革、コードバンです。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
人工皮革
ランドセルの素材として最も一般的に使用されているのが人工皮革です。
人工皮革の特徴
人工皮革は天然の革ではなく、革に似せて作られた素材です。
超極細のナイロンやポリエステル繊維を立体的に絡み合わせた「不織布層」に、ポリウレタン樹脂を染み込ませて作られています。
表面にはポリウレタン樹脂を使用した「表面樹脂層」が施され、本革に似たデザイン加工が行われているため、天然皮革に近い構造や質感を再現しています。
メーカーによっては、この人工皮革に独自の名称を付けている場合があります。
特に有名なのが、クラレが開発した「クラリーノ」です。
人工皮革のメリット
人工皮革のランドセルには、以下のようなメリットがあります。
- 軽い
- 水に強い
- 色やデザインが豊富
- 価格が安い
それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
軽い
人工皮革は天然皮革よりも軽量で、小さな子どもが毎日背負うランドセルに適した素材です。
体への負担が軽減されるため、通学が快適になります。
水に強い
人工皮革は防水性に優れているので、雨の日でも安心して使用できます。
水をはじく性質があるため、教科書や教材を雨から守ってくれます。
また、表面に汚れが付きにくく、簡単に拭き取れます。
色やデザインが豊富
人工皮革は製造過程で色の調整が容易なため、豊富なバリエーションが展開されています。
パステルカラーからくすんだ色味まで、選べる色は年々増えています。
価格が安い
人工皮革は製造コストが抑えられるため、比較的手頃な価格で購入できます。
品質の良い人工皮革を使用したランドセルでも、天然皮革製のものより価格は安くなります。
人工皮革のデメリット
人工皮革を使ったランドセルのデメリットは、以下の2点です。
- 劣化が早い
- 風合いが出ない
劣化が早い
人工皮革は、経年劣化が早い傾向にあります。
特に日光や摩擦に弱く、色褪せやひび割れが起こりやすいです。
使用環境や手入れの方法によっては、見た目の劣化が目立つ可能性があります。
風合いが出ない
人工皮革は、天然皮革特有の経年変化による味わいや風合いは期待できません。
使い込むことで生まれる独特のツヤや質感の変化は、人工皮革では再現が難しい要素です。
高級感が感じられるモデルも登場していますが、革本来の自然な質感を完全に表現することは困難です。
牛革(本革)
天然皮革の牛革で作られたランドセルです。
牛革の特徴
牛革は、牛の皮をなめし加工して作られる革材料です。
牛革は食肉産業の副産物として安定的に供給されるため、革製品の中で最も一般的な素材として広く利用されています。
流通量が多いことから、比較的安定した価格で供給されているのも特徴です。
牛革のメリット
牛革のランドセルのメリットは以下です。
- 耐久性が高い
- 経年劣化で味わいが増す
耐久性が高い
牛革は素材自体が丈夫で耐久性に優れています。
長期間使用しても型崩れしにくく、6年間の使用にも十分耐えられます。
衝撃や摩擦にも強く、高い耐久性を発揮します。
経年変化で味わいが増す
牛革の大きな魅力は、長く使うことで生まれる独特の風合いです。
時間とともに革が手に馴染み、深みが増していきます。
この変化は、人工皮革にはない革特有の特徴です。
牛革のデメリット
牛革を使ったランドセルのデメリットは以下です。
- 人工皮革より重い
- 価格が高め
- 水に弱い
人工皮革より重い
牛革は天然素材のため、人工皮革と比べると重量があります。
特に低学年のときは、負担になる可能性があります。
価格が高め
天然素材である牛革は、人工皮革に比べて製造コストが高くなります。
また、なめしや加工の工程も複雑で手間がかかるため、必然的に価格も高めになります。
質の良い牛革を使用したランドセルは、高価格帯に位置することが多いです。
水に弱い
牛革は水に弱いという特徴があります。
雨に濡れると革が硬くなったり、シミになったりする可能性があります。
また、乾燥方法を誤ると変形してしまうこともあります。
牛革のランドセルは、雨の日の使用には特に注意が必要で、日頃から防水ケアが欠かせません。
コードバン(馬革)
最高級素材のランドセルの素材として有名なのが、コードバンです。
コードバンの特徴
コードバンは、馬の臀部から採取される非常に希少な革材料です。
コードバンは繊維密度が高く、上質な革として知られており、高級ランドセルブランドで特に好まれる素材です。
牛革には見られない独特の深いツヤと光沢があり、高級感を求める家庭から高い支持を得ています。
コードバンのメリット
コードバンを使ったランドセルのメリットは以下です。
- 丈夫で傷が付きにくい
- 独特のツヤがある
- 型崩れしにくい
丈夫で傷が付きにくい
コードバンは、繊維が密に詰まった部分から作られています。
一般的な革と比べて表面が極めて丈夫で、開け閉めや教科書との擦れ、机との接触など、日常的な使用による傷に強いです。
独特のツヤがある
コードバンは、他の革にはない深みのある美しいツヤが特徴です。
キメ細かな革繊維により、なめらかな手触りが生まれます。
また、シワになりにくいため、長い間美しさを保てます。
型崩れしにくい
コードバンは、形状を保持する力が強いのが特徴です。
牛革に比べて型崩れが起きにくく、美しいシルエットを長く保ってくれます。
コードバンは、ランドセルとしての機能性と見た目の美しさを両立できる素材といえます。
コードバンのデメリット
コードバンを使ったランドセルのデメリットは以下です。
- 牛革よりさらに高価
- 重たい
- 水に弱い
- バリエーションが少ない
牛革よりさらに高価
コードバンは、一頭の馬から採取できる量が極めて限られています。
その中でもランドセルに使用できる質の良い部分はごく僅かです。
また、なめしから仕上げまでに高度な技術と時間を要するため、製造コストが高くなります。
そのため、同じ天然皮革である牛革製のランドセルと比較しても高価です。
重たい
コードバンは、すべてのランドセル素材のうち最も重たい部類に入ります。
極端に重いわけではありませんが、低学年のうちは気になるかもしれません。
水に弱い
コードバンは、水に対してあまり強くない素材です。
濡れたときに適切な処置をしなければ硬化したり、シミができたりすることがあります。
また、濡れた状態で摩擦が加わると革を傷める原因になるため、雨の日の使用には特に注意が必要です。
濡れてしまった場合は、柔らかい布で水分をすぐに拭き取り、自然乾燥させます。
ドライヤーなどで急速に乾かそうとすると、シワができる可能性があるため避けましょう。
バリエーションが少ない
コードバンのランドセルは、バリエーションが豊富とは言えません。
風合いを活かすため、カラーが限られます。
特に明るい色や派手な色の展開が少なく、基本的には濃い色味が中心となります。
コードバンランドセルは、好みの色が見つかりにくいかもしれません。
素材選びで迷ったときは
素材選びで迷ったときは、以下のポイントで考えてみましょう。
コストパフォーマンスにこだわるのなら人工皮革
人工皮革のランドセルは、比較的手頃な価格で品質を確保できます。
近年の製造技術の向上により、耐久性も向上しており、適切なケアを行えば6年間の使用にも十分耐えられるでしょう。
以前のような「安価な代替素材」というイメージは一新され、実用的で信頼性の高い素材として認知されています。
豊富なカラーバリエーションから好みの色を選べることも魅力です。
また、防水性にも優れているため、雨の日も安心です。
手頃な価格帯でありながら、実用性と耐久性を兼ね備えた人工皮革のランドセルは、多くの家庭から支持されています。
丈夫さを重視するなら牛革
牛革のランドセルは、高い耐久性を誇ります。
天然皮革ならではの味わい深い経年変化も魅力で、使い込むほどに革が馴染み、風合いが増していきます。
型崩れしにくいので、6年間の使用も問題ありません。
日々のお手入れは人工皮革より手間がかかりますが、その分愛着も深まります。
人工皮革と比べると価格は上がりますが、長期使用を考えると十分な価値があるといえるでしょう。
最高級素材にしたいという方はコードバン
コードバンのランドセルは、最高級のランドセルです。
圧倒的な耐久性と美しいツヤ、型崩れのしにくさは、他の素材の追随を許しません。
価格は最も高価となりますが6年間どころか、それ以上の使用にも耐えうる水準です。
独特の光沢は使い込むほどに増していき、最高級素材ならではの満足感を得られます。
補償があると安心
どの素材のランドセルを選ぶにしても、保証の有無を確認しておきましょう。
保証が付いていると、万が一壊れた場合でも修理が受けられます。
ランドセルは長年使用するものなので、破損してしまうことも考えられます。
「6年修理保証」が付いた製品であれば安心です。
通常の使用による故障であれば、基本的に無料で修理してくれます。
購入前に保証内容をしっかり確認し、安心して長く使えるランドセルを選びましょう。
まとめ
ランドセル素材として代表的な素材には人工皮革・牛革・コードバンの3種類があります。
軽量性を追求するなら人工皮革が候補になりますが、クオリティにこだわりたいときは、牛革やコードバンが選択肢になります。
それぞれの素材の特徴を理解し、希望に合ったランドセルを選びましょう。
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